【参考資料】 「水俣病認定義務づけを巡る2つの高裁判決に関する日本精神神経学会見解」
        平成24年8月10日(社)日本精神神経学会の環境省での記者会見配布資料。


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【解説】

水俣病の認定義務づけをめぐる平成24年2月の福岡高裁判決(患者側勝訴)および平成24年4月の大阪高裁判決(国側勝訴)の両判決について、平成25年4月16日、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は、福岡高裁判決を支持し、大阪高裁判決は審理を差し戻した。いずれも5名の裁判官の全員一致の判断。

  水俣病の認定義務づけをめぐる平成24年2月の福岡高裁判決(患者側勝訴)および平成24年4月の大阪高裁判決(国側勝訴)の両判決についての日本精神神経学会の見解である。この見解は、昭和52年の認定基準自体が「医学的に誤り」であり、両裁判所ともその認識がないため、いずれも「医学的に誤った」判決であるとする。
  これまでの裁判では、裁判所は昭和52年の認定基準を必ずしも医学的に誤りではないとしたうえで「運用の誤り」あるいは「基準としては狭すぎる」と判示していた。今回、当学会は、両高裁判決について、そもそも昭和52年の認定基準自体が「医学的に誤りである」と指摘している。また、このことから平成24年7月31日の申請打ち切りについては、これで水俣病事件を「幕引きするべきではない」としている。
  日本精神神経学会(武田雅俊理事長、会員約1万5千名)は、メチル水銀によるヒトの中枢神経組織破壊をわが国で起きた重要な精神神経疾患ととらえており、医学の基本に立ちかえって今回の提言になったものと考えられる。(阿南満昭 入口紀男)
  The Japanese Society of Psychiatry and Neurology (President M. Takeda with approximately 15,000 members) announced on 10th August, 2012 that the present "Criteria of 1977 for Minamata Disease" authorized by the Japanese government were in the first place wrong and against medical sciences.